
嫌なことがあれば銭湯に行く
仕事でうまくいかない日や、恋人や周囲の人間関係で疲れて息が詰まりそうになるときがある。そんな時、僕は決まって銭湯へ向かうことにしている。
銭湯に向かう理由は単純。そこにあるのは非日常の空間であり、流れる時間を肌で感じられる場所だから。スマホも通知音もない静かな空間は、ある意味デジタルから強制的に切り離される貴重な場所。日常の忙しさや煩雑さとは無縁の世界で、まるで映画のワンシーンの中に迷い込んだような特別感さえ感じることができる。
特に好きな瞬間は、熱い湯船にゆっくりと浸かるとき。温かい湯に身体が包まれると、心までじんわりと解きほぐされていくのがわかる。帰り道の心地よい疲労感と解放感も格別。銭湯の扉を出て、夜風を感じながら歩くその瞬間、あれほどまで重かった気持ちが嘘のように軽くなっている。
銭湯に行くことは、自分自身から少しだけ距離を置くための大切な時間だ。自分を客観視し、抱えている気持ちを改めて見つめ直すことで、自分の今を整理することができる。
だから僕にとって銭湯は、ただ疲れを取るだけではなく、心をリセットするための大切な場所なのである。